【薬剤師×AI】服薬管理・アドヒアランス向上に使えるプロンプト完全ガイド|残薬確認からフォローアップまで

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薬剤師がAIタブレットを持ち服薬管理業務を効率化するイメージ

「残薬が多い患者への対応に悩んでいる」「アドヒアランスが低い患者への介入方法が分からない」

こんな悩みを抱えている薬剤師の方は多いのではないでしょうか。

この記事では、ChatGPT・Perplexityを活用した服薬管理・アドヒアランス向上のプロンプトを紹介します。残薬確認、アドヒアランス評価、ポリファーマシー整理など、すべてコピー&ペーストですぐに使えます。ぜひアイディア出しなどで使用してみて下さい。

ここで生成AIを利用するにあたって重要な注意事項です。

2025年12月現在において、一般的に使用できる生成AIには医薬品情報、医療の情報を正しく学習し、正しく回答できるものはないと考えてください。これは、生成AIは、自信満々に誤った解答を行う可能性があるための注意です。

この現象をハルシネーション(幻覚)と呼びます。ハルシネーションの主な原因は、誤った知識による学習、知識不足への論理的思考による論理的な解答の生成によります。

例えるならば、あなたが、マークシート試験で回答がわからない場合、適当にマークしますよね。この行為に当たります。

以下に紹介するプロンプトはあくまで参考とし、適宜改善してください。また、生成された解答をそのまま鵜呑みにせず、正しい医療的知識と擦り合わせた上、参考程度にご利用ください。

当たり前すぎて書くまでもないかもしれませんが、この記事のプロンプトをご利用されたことにより、誰かしらに何らかの不利益が生じても、私は責任を負いません。

目次

なぜ今、薬剤師にAI活用が必要なのか

導入分に色々と怖いことを書いてしまいましたが、「じゃあAIは使わないほうがいいじゃん」と思ったあなた、

半分正解で半分間違いです。

2025年12月現在のAIの性能で未来の評価はできません。生成AIの技術進歩は凄まじいものがあり、5年後、10年後にはどうなっているのかすらわかりません。

なので、「今、生成AIに触れておかないと」時代遅れになってしまうと思いませんか?

薬剤師業務の現状と課題

調剤薬局や病院で働く薬剤師の多くが、事務作業に追われています。

  • 薬歴作成: 1患者あたり5〜10分
  • 服薬指導準備: 複雑な症例では15分以上
  • 疑義照会文作成: 丁寧な文面を考えるのに時間がかかる

これらの時間を短縮できれば、患者とのコミュニケーションや専門性の高い業務に集中できます。

AIが得意な業務、苦手な業務

AIは万能ではありません。得意・不得意を理解して活用することが重要です。

AIが得意な業務

  • 文章の下書き作成(薬歴、説明文)
  • 情報の要約・整理
  • 定型文のカスタマイズ
  • 翻訳・言い換え

AIが苦手な業務

  • 医療判断(診断、処方の妥当性判断)
  • 患者の感情読み取り
  • 責任を伴う最終決定

この記事で得られるプロンプトカテゴリ

  1. 服薬管理特化プロンプト(残薬確認・アドヒアランス評価・ポリファーマシー整理・フォローアップ電話)
  2. 服薬指導文作成プロンプト
  3. 薬歴・記録作成プロンプト
  4. 相互作用・副作用チェックプロンプト
  5. AIツールの使い分けガイド

【本記事の核】服薬管理特化プロンプト集

このセクションでは、服薬管理・アドヒアランス向上に特化したプロンプトを紹介します。「プロンプト 服薬管理」で検索する方が最も求めている内容です。

残薬確認・調整提案文作成プロンプト

残薬が多い患者に対して、処方医への残薬調整提案文を作成します。

あなたは調剤薬局の薬剤師です。以下の残薬情報をもとに、処方医への残薬調整提案文を作成してください。

【患者情報】
- 年齢・性別: (例: 78歳男性)
- 主な疾患: (例: 高血圧、脂質異常症)

【残薬状況】
(ここに残薬の内容を入力)
例:
- アムロジピン5mg: 28日分処方に対し、残薬14錠
- アトルバスタチン10mg: 28日分処方に対し、残薬21錠

【残薬の原因(患者からの聞き取り)】
(ここに原因を入力)
例: 「朝は忙しくて飲み忘れることが多い」「夜の薬は比較的飲めている」

【出力形式】
1. 件名
2. 残薬状況の報告(薬剤名、残数、推定アドヒアランス率)
3. 患者からの聞き取り内容
4. 薬局からの提案(処方日数調整 or 用法変更 or その他)
5. 結び

※医師が判断しやすいよう、具体的な数字と提案を含めてください。

📝 出力例を見る(残薬確認・提案文)

服薬アドヒアランス評価レポートプロンプト

患者の服薬状況を評価し、介入提案を行うレポートを作成します。

あなたは薬剤師です。以下の情報をもとに、患者の服薬アドヒアランス評価レポートを作成してください。

【患者情報】
- 年齢・性別: (例: 65歳女性)
- 疾患・処方薬: (例: 2型糖尿病、メトホルミン500mg 2錠分2)
- 治療期間: (例: 処方開始から6ヶ月)

【アドヒアランスに関する情報】
(以下を分かる範囲で入力)
- 来局間隔: (例: 処方日数28日に対し、35〜40日間隔で来局)
- 残薬の有無: (例: 毎回10錠程度の残薬あり)
- 患者の発言: (例:「つい忘れてしまう」「効いているか分からない」)
- 検査値の推移: (例: HbA1c 7.2%→7.8%に悪化)

【出力形式】
1. アドヒアランス評価スコア(良好/やや不良/不良)
2. 評価の根拠(客観的データ)
3. 推定される原因
4. 介入提案(患者への指導内容、医師への情報提供の要否)
5. 次回確認事項

※簡潔かつ具体的に記載してください。

📝 出力例を見る(アドヒアランス評価レポート)

フォローアップ電話トークスクリプトプロンプト

患者へのフォローアップ電話のトークスクリプトを作成します。

あなたは調剤薬局の薬剤師です。以下の情報をもとに、患者へのフォローアップ電話のトークスクリプトを作成してください。

【患者情報】
- 年齢・性別: (例: 72歳女性)
- 処方薬: (例: ランソプラゾール15mg、新規処方)
- フォローアップの目的: (例: 新規処方薬の副作用確認)

【確認したい項目】
(ここに確認事項を入力)
例:
- 服用できているか
- 胃の症状は改善したか
- 副作用(下痢、頭痛など)の有無

【出力形式】
1. 電話の導入(挨拶、本人確認、所要時間の案内)
2. 服用状況の確認
3. 効果・副作用の確認
4. 困っていることの確認
5. クロージング(次回来局の案内、連絡先の再案内)

※高齢者にも分かりやすい、ゆっくり話せる口調で作成してください。
※「はい/いいえ」で答えられる質問を中心に構成してください。

📝 出力例を見る(フォローアップ電話スクリプト)

ポリファーマシー整理・減薬提案プロンプト

多剤併用患者の処方を整理し、減薬の可能性を検討します。

あなたは薬剤師です。以下の処方内容について、ポリファーマシーの観点から整理し、減薬の可能性を検討してください。

【患者情報】
- 年齢・性別: (例: 82歳女性)
- 主な疾患: (例: 高血圧、骨粗鬆症、不眠症、便秘)
- 身体状況: (例: 腎機能軽度低下 eGFR 52、ふらつきあり)

【現在の処方薬一覧】
(ここに全処方薬を入力)
例:
1. アムロジピン5mg 1錠 朝食後
2. カンデサルタン8mg 1錠 朝食後
3. アレンドロン酸35mg 1錠 週1回起床時
4. ゾルピデム5mg 1錠 就寝前
5. 酸化マグネシウム330mg 3錠 毎食後
6. ファモチジン20mg 1錠 就寝前

【出力形式】
1. 処方薬の総数と問題点の概要
2. 潜在的に不適切な薬剤(PIMs)の有無
   - 該当薬剤名
   - 問題となる理由(高齢者での注意点)
3. 重複・類似薬の有無
4. 減薬・変更の提案(優先度順)
5. 医師への情報提供文案(任意)

※「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン」を参考に評価してください。
※最終判断は処方医が行うことを前提に、薬学的な観点からの提案としてください。

📝 出力例を見る(ポリファーマシー整理表)

【応用編】在宅・かかりつけ薬剤師向けプロンプト

在宅医療やかかりつけ薬剤師として活動する方向けの応用プロンプトです。

服薬カレンダー・スケジュール作成プロンプト

患者(または介護者)が使いやすい服薬スケジュール表を作成します。

あなたは薬剤師です。以下の処方内容をもとに、患者(または介護者)が使いやすい服薬スケジュール表を作成してください。

【患者情報】
- 年齢: (例: 85歳)
- 生活パターン: (例: 朝7時起床、朝食8時、昼食12時、夕食18時、就寝21時)
- 介護状況: (例: 独居、ヘルパー週3回訪問)

【処方薬一覧】
(ここに処方薬と用法を入力)
例:
- アムロジピン5mg 1錠 朝食後
- メトホルミン250mg 2錠 朝夕食後
- ランソプラゾール15mg 1錠 朝食後
- 酸化マグネシウム330mg 2錠 就寝前

【出力形式】
1. 1日のタイムスケジュール形式(時間帯ごとに服用薬を記載)
2. 服用のポイント(食前/食後の注意、飲み合わせなど)
3. 飲み忘れ防止のアドバイス(3点程度)

※高齢者が見やすいよう、シンプルな表形式で作成してください。
※介護者への申し送り事項があれば追記してください。

📝 出力例を見る(服薬カレンダー)

在宅訪問時の服薬状況報告書プロンプト

医師・ケアマネジャー向けの服薬状況報告書を作成します。

あなたは在宅医療に携わる薬剤師です。以下の訪問時の情報をもとに、医師・ケアマネジャー向けの服薬状況報告書を作成してください。

【患者情報】
- 年齢・性別: (例: 88歳男性)
- 要介護度: (例: 要介護2)
- 主な疾患: (例: 慢性心不全、認知症)

【訪問時の確認事項】
(ここに訪問時の状況を入力)
例:
- 薬の保管状況: 一包化されているが、日付の古い薬が複数残っている
- 服薬管理者: 同居の妻(80歳)が管理、最近物忘れが増えた様子
- 残薬状況: 利尿薬が約2週間分残薬
- 患者の様子: 足のむくみが先月より軽減

【出力形式】
1. 訪問日・訪問者
2. 服薬状況の評価(良好/要改善/要注意)
3. 確認事項の詳細
4. 薬学的評価・気づき
5. 提案事項(処方変更、介護サービス調整など)
6. 次回訪問予定・確認事項

※多職種が読むことを想定し、専門用語は最小限にしてください。

📝 出力例を見る(在宅訪問報告書)

【そのまま使える】服薬指導プロンプト集

薬局や病院によっては服薬指導はテンプレートシステムがあるかもしれませんが、一応簡単な生成AI版も置いておきます。

基本の服薬指導文作成プロンプト

患者への説明文を効率的に作成するプロンプトです。

あなたは調剤薬局の薬剤師です。以下の処方薬について、患者向けの服薬指導文を作成してください。

【処方薬】
(ここに薬品名を入力)

【患者情報】
- 年齢: (例: 60代男性)
- 初回処方 or 継続処方

【出力形式】
1. この薬の効果(1〜2文)
2. 飲み方のポイント(箇条書き3点)
3. 注意すべき副作用(2〜3点)
4. 日常生活で気をつけること

※専門用語を避け、平易な日本語で説明してください。

使用例:
処方薬にアムロジピン5mgを入力すると、血圧を下げる効果、1日1回の服用ポイント、めまいやむくみへの注意などがまとまった文章が生成されます。
📝 出力例を見る(アムロジピン5mgの場合)

あれ〜グレープフルーツとの相互作用のことが書かれていないね。これは薬剤師自身が知識補強してあげないとダメな例ですね〜。

高齢者向け説明文の簡略化プロンプト

医薬品の説明文を高齢者でも理解しやすい表現に変換します。

以下の医薬品説明文を、80代の高齢者でも理解できるように書き換えてください。

【元の説明文】
(ここに説明文を入力)

【書き換えのルール】
- 一文は20文字以内を目安に短く
- 専門用語は日常語に置き換え
- 重要なポイントは太字ではなく「★」マークで強調
- 数字は漢数字ではなくアラビア数字を使用

📝 出力例を見る(ビフォー・アフター)

【書き換え前】

腸内細菌により分解され、有機酸を生成し、腸内アンモニアの産生・吸収を抑えて血中アンモニア濃度を低下させ、また、下部消化管で浸透圧作用により腸管運動を促進して排便を促します。
通常、高アンモニア血症に伴う精神神経障害、手指振戦、脳波異常の治療や、産婦人科術後の排ガス・排便の促進に用いられます。

【書き換え後】

さて、このお薬は何でしょうか?

答えはラクツロースでした〜。

小児向け服薬指導プロンプト

子どもや保護者への説明文を作成します。

以下の処方薬について、5歳の子どもの保護者向け服薬指導文を作成してください。

【処方薬】
(ここに薬品名を入力)

【含めるべき内容】
1. お薬の役割(子どもにも分かる表現で)
2. 飲ませ方のコツ(嫌がる場合の対処法含む)
3. 保護者が観察すべきポイント
4. 飲み忘れた場合の対応

※保護者が安心できるよう、優しい口調で作成してください。

📝 出力例を見る(アセトアミノフェンを設定)

抗がん剤治療患者向けプロンプト

がん治療中の患者への丁寧な説明文を作成します。

以下の抗がん剤について、患者向けの服薬指導文を作成してください。

【処方薬】
(ここに薬品名を入力)

【患者の状況】
- 治療歴: (例: 化学療法2クール目)
- 懸念している副作用: (例: 脱毛、吐き気)

【出力に含める内容】
1. この薬が効果を発揮する仕組み(専門的すぎない説明)
2. 予想される副作用と発現時期の目安
3. 副作用を軽減するための日常生活のヒント
4. 「こんな症状があれば連絡」の基準

※患者の不安に寄り添うトーンで作成してください。

📝 出力例を見る(エルロチニブ錠を設定)

【そのまま使える】薬歴・記録作成プロンプト集

SOAP形式の薬歴自動生成プロンプト

患者との会話メモからSOAP形式の薬歴を生成します。

以下の患者との会話メモを、SOAP形式の薬歴記録に変換してください。

【会話メモ】
(ここにメモを入力)
例: 血圧の薬を飲み始めて2週間。朝起きたときにふらつくことがある。食事は塩分控えめを心がけている。

【処方薬】
(ここに処方薬を入力)

【出力形式】
S(主観的情報): 患者の訴え
O(客観的情報): 処方内容、バイタル等
A(評価): 薬学的評価
P(計画): 今後の指導方針

※簡潔かつ具体的に記載してください。

📝 出力例を見る(SOAP形式薬歴)

トレーシングレポート作成プロンプト

医師への情報提供書を効率的に作成します。

以下の情報をもとに、処方医への服薬情報提供書(トレーシングレポート)を作成してください。

【患者情報】
- 年齢・性別: (例: 75歳女性)
- 主な疾患: (例: 高血圧、糖尿病)

【報告内容】
(ここに報告したい内容を入力)
例: 服薬アドヒアランスが低下している。理由は「薬が多すぎて飲み忘れる」とのこと。

【出力形式】
1. 件名(簡潔に)
2. 患者情報(匿名化した形式)
3. 報告事項
4. 薬局での対応
5. 処方医へのご相談事項

※丁寧かつ簡潔なビジネス文書形式で作成してください。

📝 出力例を見る(トレーシングレポート)

疑義照会文作成プロンプト

医師への問い合わせ文を丁寧に作成します。

以下の処方内容について、医師への疑義照会文を作成してください。

【処方内容】
(ここに処方内容を入力)

【疑義の内容】
(ここに疑問点を入力)
例: 腎機能低下(eGFR 35)の患者にメトホルミン1500mg/日が処方されている

【出力形式】
1. 宛名(「○○先生」の形式)
2. 疑義の内容(簡潔に)
3. 薬学的根拠
4. 提案(あれば)
5. 結び

※医師への敬意を持ちつつ、必要な情報を簡潔に伝える文章にしてください。

📝 出力例を見る(疑義照会)

この解答、本当に上のプロンプトを投げただけなんですよね。(簡易解答として依頼していますが)

あなたはどう思いますか??そのまま使えると思いますか?

【そのまま使える】相互作用・副作用チェックプロンプト

以下のプロンプトは実験的に用いるにとどめてください。2025年12月現在のAIは、薬剤に関する正しい知識、最新の知識を正しく学習できていません。

本記事では、実験的にこのような用途にも用いることができるよ、という例を示しているのみです。

全てのプロンプトに言えることですが、出力例は参考にするにとどめ、生成された情報は絶対にそのまま用いることはしないでください。

薬物相互作用チェックプロンプト

複数の薬の相互作用を確認するプロンプトです。

以下の処方薬について、主な薬物相互作用を確認してください。

【処方薬リスト】
(ここに薬品名を入力、改行区切り)

【確認してほしい項目】
1. 併用禁忌の有無
2. 併用注意の組み合わせ
3. 相互作用のメカニズム
4. 臨床上の注意点

※情報は参考程度です。必ず添付文書やインタビューフォームで確認してください。

📝 出力例を見る(相互作用チェック)

さて、この回答はいかがでしょうか?

⚠️ 重要: ChatGPTの相互作用情報は最新でない可能性があります。実臨床では必ず添付文書やPMDAのデータベースで確認してください。

※医薬品添付文書やインタビューフォームを添付して回答の生成を依頼すると、解答の精度が上がる傾向がありますが、正確ではありません。要は、辞書を見ながらテストを受ける、という感じでしょうか。

副作用説明プロンプト

患者への副作用説明文を作成します。

以下の薬の副作用について、患者向けの説明文を作成してください。

【薬品名】
(ここに薬品名を入力)

【出力形式】
1. よくある副作用(頻度が高いもの3つ)
2. まれだが重要な副作用(すぐに受診すべきもの)
3. 副作用が出た場合の対処法
4. 「こんな症状があればすぐ連絡」のリスト

※患者を不安にさせすぎず、かつ必要な情報は伝える内容にしてください。

📝 出力例を見る(副作用説明:メトホルミンを指定)

さて、この回答もいかがでしょうか〜?

生成AIは、「正しい知識」を持った人間が用いると、武器になりますが、そうでない場合は「凶器」にもなりうるツールです。

生成AI自体に薬剤師の仕事は奪われません。正確には生成AIを使う側の人間に奪われるのです。

ChatGPTとPerplexityの使い分け

ChatGPTは汎用的なAIですが、用途によってはより適したツールがあります。

ここでは、調査が得意な生成AIをご紹介します。Perplexity(パープレキシティ)です。

用途ChatGPTPerplexity
文章作成(薬歴、説明文)
最新情報の検索
論文の要約
定型業務の効率化

Perplexity: 最新の医薬品情報検索に最適

Perplexityは、AIを活用した検索エンジンです。ChatGPTとの最大の違いは、回答にソース(出典)が付く点です。

薬剤師にとってのメリット

  • 最新の医薬品情報を検索できる
  • 回答の根拠となるURLが表示される
  • 医学論文やガイドラインを参照した回答が得られる

活用例
「〇〇(薬品名)の腎機能障害時の用量調整について、最新のガイドラインを教えて」と質問すると、ソース付きで回答が得られます。

料金
無料プランあり。Pro版は月額$20(2025年12月時点、最新情報は公式サイトで確認)

薬剤師がAIを使う際の注意点【必読】

AIは便利なツールですが、医療現場での使用には特有のリスクがあります。繰り返しになりますが、この点をしっかりと理解した上でご利用ください。

ハルシネーション(誤情報)への対処法

AIは時に、自信を持って誤った情報を生成します。これをハルシネーションと呼びます。

対処法

  1. 必ず一次情報で確認する: 添付文書、PMDAデータベース、ガイドラインなど
  2. ChatGPTの回答を「下書き」として扱う: そのまま使わず、必ず自分で加筆修正
  3. 数値データは特に注意: 用量、頻度などの数値は必ずダブルチェック

個人情報保護の鉄則

絶対に入力してはいけない情報

  • 患者の氏名
  • 住所、電話番号
  • 生年月日
  • 診療記録の詳細
  • その他、個人を特定できる情報

安全な使い方

  • 患者情報は「60代男性」「高血圧治療中」など匿名化して入力
  • 具体的な処方内容も、必要最小限の情報に限定

安全な、と書きましたが、将来的にはビッグデータの解析でさまざまな情報から患者個人へ結びついてしまうことも考えられますので、できるだけ具体的な情報は入れない方が良いでしょう。

ただ、患者情報を安全に扱う生成AIの環境を用意することも可能ですので、その方法に関しては後日、別記事で解説したいと思います。

最終責任は薬剤師自身にある

AIはあくまで補助ツールです。

  • AIの回答を患者に直接伝えてはいけません
  • 必ず薬剤師自身が内容を確認し、判断する必要があります
  • 万が一の誤りがあった場合、責任は薬剤師にあります

「AIが言っていたから」は、専門家として通用しません。

プロンプトのカスタマイズとトラブルシューティング

プロンプトを自分仕様にカスタマイズする方法

この記事で紹介したプロンプトは、そのまま使うだけでなく、自分の業務に合わせて改良することでさらに効果を発揮します。

カスタマイズのポイント

  1. 薬局のフォーマットに合わせる: 自分の薬局で使っている薬歴のテンプレートがあれば、出力形式にそれを指定する
  2. よく使う表現を追加する: 「当薬局では~」など、定型で使う表現をプロンプトに含める
  3. 出力の長さを調整する: 「〇〇文字以内で」「箇条書き3点で」など具体的に指定
  4. 専門領域に特化させる: 「糖尿病専門外来の患者向けに」など、自分の専門領域に合わせる

期待通りの出力が得られないときの対処法

AIが思ったような回答を返さない場合は、以下を試してください。

問題対処法
回答が長すぎる「〇〇文字以内で」「要点3つに絞って」と指定
専門用語が多い「中学生でも分かる言葉で」と追加
情報が古いPerplexityを使う、または「2025年時点の情報で」と指定
的外れな回答患者の背景情報(年齢、疾患)をより詳細に記載
フォーマットが崩れる「以下の形式で出力してください」と例を添える

まとめ: 明日から使える3つのステップ

ステップ1: まずは1つのプロンプトを試す

この記事で紹介したプロンプトの中から、自分の業務で最も時間がかかっている作業を選んでください。

おすすめは「SOAP形式の薬歴自動生成プロンプト」です。毎日使う機会があり、効果を実感しやすいためです。

ステップ2: 自分の業務に合わせてカスタマイズ

プロンプトは「正解」があるわけではありません。

  • 自分の薬局のフォーマットに合わせて調整
  • よく使う表現を追加
  • 不要な項目を削除

使いながら改良していくことで、自分だけの効率化ツールになります。

ステップ3: Perplexityで更に効率化

ChatGPTに慣れたら、Perplexityも試してみてください。

特に「最新のガイドラインを確認したい」「根拠となる情報源が欲しい」という場面で威力を発揮します。
AI活用を始める一歩を踏み出すかどうかは、あなた次第です。

まずは今日、1つのプロンプトを試してみてください。5分後には、新しい業務効率化の可能性が見えているはずです。

【市場価値を高める】服薬管理スキルを活かすキャリアへ

本記事で紹介したAI活用による服薬管理・アドヒアランス向上のスキルは、在宅医療かかりつけ薬剤師として働く上で、あなたの市場価値を大きく高めます。

「自分のスキルがどう評価されるか知りたい」「服薬管理に注力できる職場に転職したい」とお考えの方は、ぜひ一度、薬剤師専門の転職エージェントにご相談ください。

参考文献・信頼できる情報源

AIの回答を確認する際には、以下の公的情報源を参照してください。

  • PMDA(医薬品医療機器総合機構): https://www.pmda.go.jp/
  • 高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015: 日本老年医学会
  • 各薬剤の添付文書・インタビューフォーム: 制造販売元の公式サイト
  • 日本薬剤師会: https://www.nichiyaku.or.jp/
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この記事を書いた人

薬剤師キツネのアバター 薬剤師キツネ 病院薬剤師(16年経験)&医療IT/AI戦略家
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