ChatGPTで医薬品インタビューフォーム(IF)を時短検索する方法【薬剤師DI向けプロンプト集】

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ChatGPTでインタビューフォームを検索する薬剤師のイラスト
目次

はじめに:IFは「全部読む」から「該当ページを特定して確認」へ

:この記事で扱う「インタビューフォーム」は、就活や取材の”インタビュー用フォーム”ではなく、医薬品のインタビューフォーム(IF) です(DI業務で使うPMDA公開のPDF資料のことを指します)。

「インタビューフォーム(IF)、また100ページ超えか…」

病院や調剤薬局で働く薬剤師なら、この絶望感に心当たりがあるはずです。

添付文書には載っていない安定性試験データ、粉砕可否、腎機能別の用量設定。医薬品IFは「宝の山」ですが、必要な情報がどこにあるか探すだけで30分、じっくり読めば1時間はかかります。

ChatGPTを使えば、IFの該当ページ(根拠)を素早く特定し、原文確認を短縮できます。
※注意:AIの要約や結論は採用しません。ページ特定→原文確認→薬剤師が確認が前提です。

ChatGPTなどの生成AIはIF(PDF)をアップロードして、質問に応じて該当箇所を探しながら要約・抽出できます。まるで、優秀な後輩が24時間体制でDI業務を手伝ってくれるようなものです。

ただし、PDFが画像(スキャン/図表が画像)だと、Enterprise以外は画像が破棄されて抜けが出ます。詳しくは後述の「PDFの種類」セクションで解説します。

この記事では、AI初心者の薬剤師でも「今日から使える」具体的な手順とプロンプトを紹介します。

余談ですが、私が一番好きなインタビューフォームの項目は「名称の由来」です。意外と面白い名付けもあるため、楽しめます。また、当たり前のことですが、添付文書やインタビューフォームは1度は必ず全部読むようにしてくださいね。本記事では情報収集効率化の観点からAIの利用を提案しています。

この記事で手に入るもの

  • 医薬品IFとは何か(添付文書との違い)
  • PMDAからIFをダウンロードする手順
  • ChatGPTにPDFを読み込ませる3ステップ
  • DI業務で即使える「目的別プロンプト」9選(コピペOK)
  • 実例:腎機能×DOAC用量設計のAI活用フロー
  • AIの嘘(ハルシネーション)を防ぐ「4つの掟」

30秒でわかる結論:ChatGPTはIFの”検索係”として使う

  • 使っていい: 該当ページ特定、原文の短い引用、要点の整理
  • 使うな: 用量の最終決定、禁忌の断定、患者個別の判断
  • リスク: 画像表(スキャン表)は欠落し得る(Enterprise以外)

大原則: ページ提示がない回答は信用しない。そして、原文確認は必須。

検証環境・最終更新日

  • 本記事の検証日: 2025-12-20(最終更新: 2026-01-06)
  • 検証環境: ChatGPT Plus / Pro(ファイルアップロード機能)
  • 仕様の根拠: OpenAI File Uploads FAQVisual Retrieval with PDFs FAQ
  • 重要: Enterprise以外はPDF内画像が解析対象外(図表は欠落し得る)

医薬品インタビューフォーム(IF)とは:添付文書との違い

まず「医薬品インタビューフォーム」の位置づけを確認しておきましょう。

日本病院薬剤師会の定義によると、IFは以下のように位置づけられています。

医薬品IFとは: 添付文書を補完し、薬剤師等の業務に必要な情報(安定性、配合変化、製剤学的特徴など)をまとめた「個別医薬品の解説書」です。

参考:日本病院薬剤師会「医薬品インタビューフォーム利用の手引き」

添付文書とIFの違い

項目添付文書インタビューフォーム(IF)
法的位置づけ医薬品医療機器等法で規定日病薬の要請により製薬企業が作成
対象読者医療従事者全般主に薬剤師
情報量必要最小限(数ページ)詳細(数十〜100ページ以上)
更新改訂時添付文書改訂に合わせることが多いが、差が出ることがあるためPMDAで最新版確認を推奨
含まれる情報効能効果、用法用量、禁忌など安定性試験、配合変化、溶出試験、製剤学的特徴など

つまり、IFは添付文書だけでは分からない「薬剤師が知りたい詳細情報」が詰まった資料です。だからこそ情報量が膨大で、ChatGPTによる検索・要約の価値が高いのです。

なぜChatGPT×医薬品インタビューフォームなのか?

DI業務のパラダイムシフト:「読む」から「探させる」へ

従来のDI業務では、医薬品IFを最初から読むか、Ctrl+Fでキーワード検索するしかありませんでした。しかし、この方法には限界があります。

  • 「安定性」と検索しても、光安定性なのか温度安定性なのか判断できない
  • 複数の情報を横断的に比較するのが困難
  • そもそも何を検索すればいいか分からない

光安定性や温度安定性がしっかりと記載さされていないインタビューフォームの場合、最終的には正確なデータを製薬企業に問い合わせるしか方法はありませんが、

ChatGPTを使えば、自然言語で質問するだけで欲しい情報が手に入る可能性が高くなります。

「この薬、eGFR 30の患者さんではどのような使い方ですか?」と聞けば、腎機能に関する記載を探し、用量調節が必要かどうかを教えてくれるのです。

ここで注意!
ChatGPTや他のAIに、「判断を仰ぐような」聞き方をしてはダメです。あくまでも、情報収集せよ、原文を提示せよ、という趣旨の指示することが大事になります。本記事の後半で、解説していきます!

精度の分かれ目は”モデル”より「PDFの種類」

ChatGPTでIFを解析する際、精度を左右するのはPDFがテキスト埋め込み型か画像型かです。

PDFの種類ChatGPTでの扱い注意点
テキスト埋め込み型テキストを抽出して検索・要約できる最新のIFはほぼこれ
スキャン画像/図表が画像Enterprise以外は画像部分が破棄される表データが欠落するリスクあり

重要:PDF内の図表・画像(スキャン表など)を”画像として”解釈できるのは、現時点ではChatGPT EnterpriseのVisual Retrieval対応時のみです。その他のプラン(Free/Plus/Pro/Team/Edu)はPDFからテキストを抽出し、画像は破棄されます。(2026年1月6日現在)
参考:Visual Retrieval with PDFs FAQ

つまり、IFの表が画像として埋め込まれている場合、Enterprise以外では重要なデータが欠落する可能性があるということです。後述の「掟」でこのリスクへの対処法を解説します。

推論能力の向上は目覚ましい

ChatGPTの推論能力は急速に進化しています。たとえば「この薬とワーファリンの併用は大丈夫?」と聞くと、CYP代謝経路から併用注意の根拠まで説明してくれます。

ただし、数値や用量の断定はAI任せにせず、必ず原本で確認してください(後述の「4つの掟」参照)。

ChatGPT×インタビューフォーム(医薬品IF)でできること

この記事で紹介する9つのプロンプトを使えば、以下のことが効率化で切る可能性があります。
※回答の結果は必ずチェックするようにして下さい。AIは誤った回答を行う場合があります。

  • IFの全体像を把握:目次・構成から必要な章を特定
  • 副作用情報の抽出:発現頻度・重大な副作用を表形式でまとめ
  • 相互作用チェック:CYP代謝経路・併用禁忌/注意をリスト化
  • 製剤特性の確認:粉砕可否・安定性データを即座に取得
  • 腎機能別用量:該当ページを特定→原文確認
  • 妊婦・授乳婦への投与:記載部分の原文確認
  • 肝機能障害時の投与:Child-Pugh分類別の記載を特定
  • 配合変化:輸液別の安定性データを表形式で取得
  • 臨床フレームワーク質問:リスク低減/保有/回避の選択肢を整理

準備編:PMDAから最新IFを入手しよう

PMDAからインタビューフォームをダウンロードする様子

ChatGPTにIFを読み込ませる前に、まずは最新版のPDFを入手しましょう。

PMDA公式サイトでの検索・ダウンロード手順

  1. PMDA公式サイトにアクセス
  1. 「医療用医薬品 情報検索」をクリック

トップページの「添付文書等情報検索」から入ります

  1. 薬品名を入力して検索
  • 一般名または販売名で検索できます
  • 迷ったら 販売名+”IF” で探すと早い(例:「アムロジピンIF」)
  • ヒットしない時の検索順:販売名 → 一般名 → 会社名+販売名
  1. インタビューフォーム(IF)をダウンロード
  • 検索結果から該当薬剤を選び、「IF」ボタンをクリック
  • PDF形式でダウンロードされます

PDFファイルの扱い方(OCR処理などの注意点)

💡 IF確認が属人化して「毎回あなたがDI係」なら、AI以前に職場設計が詰んでます。
DI体制が確立されたところに行く

ダウンロードしたPDFには2種類あります。

  • テキスト埋め込み型:そのままChatGPTで読み込み可能(推奨)
  • 画像スキャン型:一部古いIFはスキャン画像のため、OCR処理が必要

最新のIFはほぼ「テキスト埋め込み型」なので、そのままアップロードすれば大丈夫です。もし文字化けする場合は、Adobe Acrobatなどでテキスト認識(OCR)処理を行ってください。

DI体制がある職場を見抜くチェックリスト(簡易版)

AI活用以前に、職場のDI体制が整っているかを確認しましょう。以下のチェックリストで半分以上×なら、AIを導入しても属人化は解消されません。

チェック項目○/×
DI窓口が明確(担当者・対応時間・エスカレーション先)
疑義照会の基準が文書化されている(属人化してない)
監査ダブルチェックの運用がある(夜間/繁忙時も崩れない)
添付文書/IF/最新改訂を追う仕組みがある(誰が、いつ)
配合変化やTDMの参照ソースが決まっている
研修・勉強会・OJTが定期的にある(”聞ける人”がいる)
ICT/情報システムと連携している(クラウド利用規定がある)
“AIはページ特定まで”など安全ルールを設定できる雰囲気がある

半分以上×なら、いくらAIを入れても「あなたの負担」は減りません。

まずは「DI窓口の明文化」「監査のダブルチェック」「原文確認フロー」の3点だけでも改善できるか確認。無理なら、仕組みがある職場を選ぶことを検討してください。

※次に読むべき記事はタイプで変わります:病院DIを続けたい/企業DI寄り/薬局でDI体制重視(分岐ガイドは準備中)。
先に結論だけ知りたい人は → 薬剤師転職サイトの選び方|失敗しない5つの基準

実践編【図解】:ChatGPTにIFを読み込ませる3ステップ

ChatGPTにIFを読み込ませる3ステップのフローチャート

ここからが本番です。実際にChatGPTを使ってIFを解析してみましょう。

Step 1:PDFをアップロードする

  1. ChatGPTにログイン(ファイルアップロードはプランと混雑状況で上限が変動します。目安として、Freeは1日あたりのアップロード数に制限があり、Plus/Pro等はより多く扱えます。[最新仕様はOpenAIヘルプ(File Uploads FAQ)参照]
  2. 新しいチャットを開始
  3. 入力欄の「クリップマーク」をクリックしてPDFをアップロード

参考:ChatGPT Plans(料金体系と提供される機能一覧)

ポイント:複数のIFを同時にアップロードすることも可能です。たとえば「薬剤A」と「薬剤B」のIFを両方読み込ませて、比較することもできます。

⚠️ 重要:患者情報および関連する個人情報は絶対に入力しない(情報整理は「ページ特定」まで)

  • 直接情報:氏名・ID・住所など
  • 準識別子:年齢(特に高齢/小児)、入退院日、受診科、病棟、居住地域、希少疾患、併用薬の組み合わせ、特徴的な検査値など → 単体では匿名でも組み合わせで個人が推測される可能性あり

学習に使わせたくない場合は「Temporary Chat」を使用(30日で削除、学習対象外)。ただし規約改定・法的要請・外部連携(Custom GPT Actions等)により例外あり。院内規定を最優先に。
参考:Data Controls FAQ / Temporary Chat FAQ

安全な質問例:「このIFの腎機能(CrCl/eGFR)に関する記載ページを列挙して、原文を短く引用して」

院内で使う前の確認(3つ)

  1. 業務文書のクラウドアップロード可否:院内規定を確認(情報システム部門に相談)
  2. 患者情報を入力しない運用:匿名化でも原則NG。「ページ特定」までで止める
  3. 画像表が抜ける前提で原文確認フローを固定:ページ特定→IF原文を開いて確認

院内稟議用:IF×AI運用ルール(テンプレ)

院内でAI×IF運用を導入する際の稟議・掲示用テンプレ参考案です。必要に応じてコピーしてカスタマイズしてください。

【AI活用時の安全ルール(IF検索用途)】
■ 用途:医薬品IFの「該当ページ特定」まで(結論・投与量決定は禁止)
■ 入力禁止:患者個人情報、準識別子の組み合わせ(年齢・病棟・検査値など)
■ 必須:原文確認(添付文書/IF/企業DI)
■ 監査:二重チェック(夜間含む)
■ 準拠規程:厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第6.0版
参照: https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000516275_00006.html

💡 このテンプレを使うメリット: 稟議書に「AIの用途制限」と「原文確認フロー」を明記することで、院内合意が取りやすくなります。

向いてない人(この方法を”使わない方がいい”ケース)

この手順は便利ですが、条件を満たさないのに無理に使うと、時間を溶かすか事故ります。 次に当てはまるなら、ChatGPTでIF検索は一旦やめてください。

① 院内規定で「クラウドへ業務資料アップロード禁止」(例外なし)

NG理由:ルール違反はアウト。AI以前の問題です。

代替

  • 院内で許可されたDIツール・ナレッジベースを使う
  • PDFを院内端末でOCR→Ctrl+F(ファイル中を検索)運用に寄せる
  • 製薬企業のDI窓口へ問い合わせ(根拠が残る)

② 患者背景を入れないと判断できない相談(=AIに投げがち)

  • :年齢、体重、腎機能、併用薬、既往、入院日などを”つい書きたくなる”ケース
  • NG理由:個人情報は氏名などの直接情報だけではなく、関連情報(準識別子)の組み合わせで推測されうるため。
  • 代替患者背景は書かず、「IF内の該当ページ特定」までに用途を限定する(=ページ提示→原文確認→薬剤師が統合)

③ 画像スキャンIFばかりで、OCR/スクショ運用が回らない

  • NG理由:Enterprise以外では画像表が抜けやすく、「記載なし」誤判定→誤結論が起きる。
  • 代替
  • 先にOCRしてテキスト化してから検索
  • 表は必要箇所だけ手入力して整形(AIは整形係に徹する)
  • そもそも添付文書・企業DIへ切り替える

④ 「AIの回答をそのまま意思決定に使いたい」人

  • NG理由:用量・禁忌・相互作用などは、AIが正しく見えても事故る。
  • 代替:AIは検索(ページ特定)と文章化(下書き)まで。最終判断は原文+薬剤師。

✅ 上のどれにも当てはまらないなら、このままStep2(ロールプロンプト)へ進んでOKです。
当てはまる場合は、まず院内運用(DI窓口の明文化/監査のダブルチェック/原文確認フロー)の整備を優先してください(改善が無理なら環境を変える検討が早い)。

Step 2:前提条件を入力する(ロールプロンプト)

ChatGPTに「あなたは誰か」を伝えることで、回答の精度が上がります。

以下のプロンプトをコピーして貼り付けてください。

あなたは日本の病院で働くDI専門薬剤師です。
私がアップロードしたPDFは医薬品のインタビューフォーム(IF)です。
質問に対して、IFの該当ページ数を引用しながら正確に回答してください。
もしIFに記載がない場合は「記載なし」と明記してください。

このプロンプトのポイントは3つあります。

  1. 「DI専門薬剤師」という役割:医療従事者向けの専門的な回答を引き出す
  2. 「ページ数を引用」:ハルシネーション対策として、出典を明示させる
  3. 「記載なし」の明示:無い情報を捏造させない予防策

Step 3:質問を投げかける

準備ができたら、早速質問してみましょう。

最初の質問としておすすめなのは「概要の要約」です。

このIFに記載されている薬剤について、
以下の項目を200文字以内で要約してください。
- 薬効分類
- 主な適応症
- 用法用量の概要
- 特徴的な注意事項

回答を確認したら、次のセクションで紹介する「目的別プロンプト」を使って、より深い情報を引き出してください。

【コピペOK】DI業務を大幅に時短する「目的別プロンプト辞書」

DI業務用プロンプト9選のアイコン一覧

ここからは、実務ですぐに使えるプロンプトを9つ紹介します。

すべてコピー&ペーストで使えるように作成しました。必要に応じてカスタマイズしてください。

1. 基本要約:「この薬の特徴を3行で教えて」

このIFに記載されている薬剤について、以下を3行で簡潔に教えてください。
1. どんな患者に使う薬か
2. 他の類似薬と比べた強み
3. 処方時に最も注意すべきこと

回答には該当ページ数を記載してください。

使用シーン:初めて触れる薬剤のざっくり理解、病棟カンファレンスの準備

2. 副作用抽出:「5%以上発現する副作用と、重大な副作用の初期症状は?」

このIFに記載されている副作用について、以下の情報を表形式でまとめてください。

## 発現頻度5%以上の副作用
| 副作用名 | 発現頻度 | 該当ページ |

## 重大な副作用と初期症状
| 副作用名 | 初期症状 | 該当ページ |

記載がない場合は「IF記載なし」と明記してください。

使用シーン:服薬指導の準備、患者説明資料の作成

※表が画像の場合(Enterprise以外)は抜けが出ます。該当ページをスクショ→画像貼付→「表をそのまま転記して」→転記テキストで再質問の順で対処してください。

3. 相互作用チェック:「CYP代謝経路と併用注意薬をリスト化して」

このIFに記載されている薬物相互作用について教えてください。

1. 主要なCYP代謝経路(基質、阻害、誘導)
2. 併用禁忌の薬剤名と理由
3. 併用注意の薬剤名と注意点

回答では必ずIFの該当ページを引用してください。

使用シーン:持参薬確認、処方監査

4. 安定性・配合変化:「粉砕可否と光安定性のデータを出して」

このIFに記載されている製剤の安定性と取り扱いについて教えてください。

1. 粉砕の可否(記載があれば根拠も)
2. 光安定性(遮光保存が必要か)
3. 温度条件(室温保存か冷所保存か)
4. 配合変化の注意点(輸液との配合など)

該当ページ数を必ず記載してください。

使用シーン:調剤時の判断、簡易懸濁法の可否確認

5. 腎機能別用量:「ページを特定して原文を引用して」

腎機能(eGFR/CrCl)に関する記載があるページ番号を列挙してください。
次に、各ページの論点(用量調節、禁忌/慎重投与、薬物動態、注意事項)を箇条書きで示してください。

※用量や数値は「要約」ではなく原文を短く引用してください。
※推測で補わないでください。記載がない場合は「IF記載なし」。
※該当ページ番号を必ず書いてください。

使用シーン:高齢者・CKD患者への処方支援、TDM業務

⚠️ 注意:AIに「この患者に何mgが正解?」と聞くのはNGです。用量の最終判断は必ず薬剤師がIF原文を確認して行ってください。また、IFや添付文書ではCrCl基準で用量調節が示される場合があります。eGFRとCrClを混同しないよう注意してください。

手順:①IF/添付文書が採用する指標(CrCl/eGFR)を確認 → ②患者の指標を合わせる → ③原文の条件(禁忌/慎重投与)を確認

6. 妊婦・授乳婦への投与:「原文を引用して」(断定禁止)

妊婦・授乳婦に関する記載箇所を、IFの原文を短く引用して提示してください(要約ではなく引用)。

- 妊婦(妊娠している可能性含む)
- 授乳婦(乳汁移行の有無・データ)
- 投与判断の条件(有益性投与、慎重投与 等の原文表現)

※「使える/使えない」と断定しないでください。
※記載がない場合は「IF記載なし」。
※該当ページ番号を必ず書いてください。

使用シーン:産婦人科から処方せんを受けた時、授乳相談

⚠️ 注意:妊婦・授乳婦への投与判断は最終的に医師が行います。AIの要約を鵜呑みにせず、必ず原文を確認してください。

7. 肝機能障害時の投与:「ページを特定して原文を引用して」

肝機能障害に関する記載があるページ番号を列挙してください。
次に、各ページの論点(用量調節、禁忌/慎重投与、薬物動態、注意事項)を箇条書きで示してください。

※用量や数値は要約せず、原文を短く引用してください。
※Child-Pugh分類の記載がある場合は、その箇所を原文引用してください。
※推測で補わないでください。記載がない場合は「IF記載なし」。
※該当ページ番号を必ず書いてください。

使用シーン:肝硬変患者、アルコール性肝障害患者への処方支援

⚠️ 注意:AIに「この患者に投与可能?」と聞くのはNGです。用量の最終判断は必ず薬剤師がIF原文を確認して行ってください。

8. 配合変化(輸液別):「生食・5%ブドウ糖、どっちで希釈?」

このIFに記載されている配合変化・安定性情報について教えてください。

1. 推奨される希釈液(生理食塩液、5%ブドウ糖液など)
2. 各希釈液での安定性データ(pH変化、外観変化、力価低下)
3. 配合禁忌の薬剤(混注不可)

該当ページを必ず引用してください。
必ず表形式でまとめてください。

使用シーン:注射剤調製、TPN調製時の配合変化確認

※配合変化表が画像の場合(Enterprise以外)は抜けが出ます。該当ページをスクショ→画像貼付→「表をそのまま転記して」→転記テキストで再質問の順で対処してください。

9. 臨床フレームワーク質問:「リスク対応の選択肢を整理して」

これは競合記事で評価の高い「臨床判断支援」型のプロンプトです。ただし、最終判断は必ず薬剤師と医師が行ってください。

IFに基づいて、この薬剤の[相互作用/副作用/禁忌など]について、
リスクマネジメントの観点から以下の選択肢を整理してください。

1. リスク低減:投与量・間隔の調整、モニタリング強化
2. リスク保有:経過観察で対応可能なケース
3. リスク回避:代替薬への変更が推奨されるケース

※各選択肢について、IFの該当ページと原文を引用してください。
※「問題なし」「大丈夫」等の断定は避け、条件を明記してください。

使用シーン:処方提案時、医師への疑義照会前の情報整理

⚠️ 重要:このフレームワークはあくまで「情報整理」です。AIの回答を鵜呑みにせず、患者背景を踏まえた臨床判断は必ず薬剤師・医師が行ってください。


実例:腎機能×用量設計を「安全に」ChatGPTで調べる手順

ここでは、DIでよくある「腎機能低下患者への用量調節」を例に、安全にChatGPTを活用する手順を解説します。

⚠️ 注意:用量・数値は本文に載せません
以下は「手順の例」です。用量・PKデータは必ずIF原文の該当ページを読んで確定してください。また、IFや添付文書ではCrCl(クレアチニンクリアランス)基準で用量調節が示される場合があります。eGFRとCrClを混同すると事故につながるため、まずIF/添付文書がどの指標を採用しているか確認してください。

ケース:DOACの腎機能別用量を調べたい

よくあるDI照会:「腎機能低下患者にDOACを処方する場合、用量調節はどうすればいい?」

Step 1:まず「該当ページ」だけを特定させる

数値をAIに出力させるのではなく、どのページに情報があるかをまず特定します。

このIFの中で、腎機能(eGFR/CrCl)に関する記載があるページ番号だけ列挙してください。

次に、各ページで扱っている論点(用量調節、PK、禁忌/慎重投与、注意事項)を箇条書きで示してください。

※用量や数値は本文をそのまま引用し、推測で補わないでください。

Step 2:ChatGPTの出力(ページ特定の例)

ChatGPTは以下のような形式で情報を返します。

【腎機能に関する記載ページ】
- p.XX-XX:薬物動態(腎排泄率、クリアランス)
- p.XX:用法用量に関連する使用上の注意(腎機能障害患者)
- p.XX-XX:臨床成績(腎機能別の有効性・安全性データ)
- p.XX:禁忌(重度腎機能障害)

【各ページの論点】
- p.XX:腎機能別の用量調節(CrCl基準)
- p.XX:腎機能低下時のAUC変化
- p.XX:腎機能低下患者における出血リスク

Step 3:IF原文を開いて確認する

ChatGPTが示したページ番号を自分でIFを開いて確認します。

確認すべきポイント

  1. 腎機能指標:CrClなのかeGFRなのか(混同すると事故になる)
  2. 用量数値:ChatGPTの要約ではなく、原文の表・数値を読む
  3. 禁忌/慎重投与:どの腎機能レベルで禁忌になるか

Step 4:患者背景は「ChatGPTに入れず」薬剤師が統合する

重要:患者の具体的な検査値や病歴は、ChatGPTに入力しないでください。

  • 出血既往
  • 併用薬(抗血小板薬等)
  • 体重・年齢
  • HAS-BLEDスコア

これらは薬剤師が臨床判断として統合し、医師と協議してください。

なぜこの手順が安全なのか

危険な使い方安全な使い方
AIに「この患者に何mg投与すべきか」と聞くAIに「用量調節の記載があるページはどこか」と聞く
AIの出力数値をそのまま使うAIが示したページを自分で開いて原文確認
患者情報をプロンプトに入力患者情報は入れず、薬剤師が統合

AIは「情報検索ツール」であり、「処方判断者」ではありません。最終判断は必ず薬剤師が行ってください。

DIが属人化している職場ほど、AIを使っても「あなたの負担が軽くならない」ことが多いです。夜間のDI照会、疑義照会の残業、教育不足で自己責任…これが重なると消耗戦になります。仕組みがある環境に寄せるのが最短です。

まず今日やること:あなたの職場が「患者情報ゼロ運用」「原文確認フロー」「画像表対策(スクショ/OCR)」を許容できるか確認。1つでも無理なら、環境を変える検討が早いです。

💡 施設ルール的にAI活用が難しいなら、努力より環境です。
薬剤師転職サイトの選び方|失敗しない5つの基準


命に関わるミスを防ぐ「4つの掟」(ハルシネーション対策)

ハルシネーション対策4つの掟のバッジ

AIは非常に便利ですが、「嘘をつく」ことがあります。これをハルシネーション(幻覚)と呼びます。

どれくらい嘘をつくのか? ASHPが紹介した評価では、薬剤関連の質問に対するChatGPTの回答について、薬剤師がレビューした結果「不十分または不正確」と判定されたケースが多く報告されています。

たとえば、ChatGPTが「相互作用は報告されていない」と回答したPaxlovid×ベラパミルの例が紹介されています。「ページ提示がない回答=信用しない」を徹底してください。

参考:ASHP News – Study Finds ChatGPT Provides Inaccurate Responses to Drug Questions

だからこそ本記事では「ページ根拠→原文確認→薬剤師が統合」の手順を前提にします。以下の4つの掟を必ず守ってください。

🚨 大原則:ページ提示がない回答は破棄する

掟1:必ず「記載ページ数」を出力させる

プロンプトに「該当ページを引用してください」と入れることで、AIが出典を明示するようになります。

ページ数が出てこない回答は、AIが「それっぽく」作った情報かもしれません。必ず原本で確認しましょう。

掟2:重要データ(用量・禁忌)は必ず原文を目視確認する

AIの回答が正しそうでも、以下の情報は必ず自分の目でIFを確認してください。

  • 用法用量(特に腎機能・肝機能別)
  • 禁忌事項
  • 妊婦・授乳婦への投与

「AIが言っていた」は言い訳になりません。最終判断は必ず自分自身で。

掟3:最新の添付文書改訂情報はPMDAでダブルチェック

IFは添付文書より更新頻度が低いことがあります。

特に緊急安全性情報や使用上の注意改訂があった薬剤は、PMDAの「添付文書等情報」で最新版を確認してください。

掟4:「記載なし」は”未検出”の可能性も疑う

ChatGPTが「記載なし」と返してきた場合、本当に記載がないとは限りません

以下の条件では、IFに書いてあってもChatGPTが検出できないことがあります。

  • スキャンPDF(OCR処理がされていない)
  • 図表が画像として埋め込まれている(Enterprise以外は画像部分が破棄される)

このような場合は:

  1. 該当箇所のスクリーンショットを撮って再度質問
  2. Adobe AcrobatでOCR処理してから再アップロード
  3. 表を手動でテキストに転記してChatGPTに渡す

まとめ:浮いた時間で、患者さんと向き合おう

この記事では、ChatGPTを使って医薬品インタビューフォームから情報を効率的に抽出する方法を紹介しました。

ポイントのおさらい

  1. 医薬品IFは「読む」のではなく「探させる」時代へ
  2. ChatGPTならIFから必要箇所を探して要約・抽出できる(※画像PDFは抜けるため対処が必要)
  3. 目的別プロンプトを使えば、DI業務を大幅に時短できる
  4. ただしハルシネーション対策は必須。「4つの掟」を守ろう

専門家のスタンス:米国薬剤師会(ASHP)も「ChatGPTの薬剤情報は鵜呑みにすべきでない」と公式に警告しています。本記事の「4つの掟」は、このスタンスを日本のDI業務に落とし込んだものです。

AIは「サボる」ためではなく「質を高める」ために使う

AIで効率化した時間を、ぜひ患者さんとの対話に使ってください。

「先生、この薬ちょっと心配なんですけど…」

そんな声に丁寧に応えられる薬剤師こそ、AI時代に求められる存在です。IFを読む時間が減れば、その分だけ「聴く力」を発揮できます。

よくある質問(FAQ)

Q:ChatGPTに医薬品IFをアップロードしても大丈夫?

A:IFは公開資料だが、院内規程がNGならアウト。患者情報は絶対入力禁止。
補足:IF自体はPMDA等で公開されている資料ですが、著作権は作成した医薬品メーカーに帰属します。また、施設のIT規定やセキュリティポリシーを必ず確認してください。また、ChatGPTに入力した内容の扱いは設定に依存します。学習に使わせたくない場合は「Temporary Chat」やデータ管理設定を有効にしてください

参考:Data Controls FAQ

参考:How your data is used to improve model performance

Q:スキャンPDFで表が読めない場合はどうすれば?

古いIFは画像スキャン型のため、ChatGPTが表を正確に読み取れないことがあります。対処法は以下の2つです。

  1. OCR処理:Adobe AcrobatなどでOCR(テキスト認識)を実行してから再アップロード
  2. 手動転記:必要な表だけテキストで転記し、ChatGPTに渡す

Q:複数の医薬品IFを比較したい場合は?

ChatGPTは複数のPDFを同時にアップロードできます。「薬剤Aと薬剤Bの副作用頻度を比較して表にまとめて」のように指示すれば、横断的な比較表を作成してくれます。

Q:「記載なし」と出た場合、次は何をすべき?

「記載なし」には2つの意味があります。

  1. 本当にIFに記載がない
  2. 画像PDF/OCR未処理で検出できていない(Enterprise以外は画像部分が破棄される)

まず「掟4」の対処法(スクショ貼付/OCR処理/手動転記)を試してください。それでも見つからない場合の次のステップとして:

  1. 添付文書を確認(IFより新しい情報が入っている場合あり)
  2. 製薬企業のDI窓口に問い合わせる
  3. 医学文献検索(PubMed、医中誌)で関連情報を探す

次のステップ

ChatGPT×医薬品IF読解をマスターしたら、次はこんな使い方もおすすめです。

  • 添付文書の自動比較:類似薬3剤のIFを同時にアップロードして比較表を作成
  • 患者説明資料の下書き:専門用語を平易な言葉に変換
  • 抄読会の資料準備:論文の要約とIFの情報を組み合わせる

あなたのDI業務が、もっと楽に、もっと深くなることを願っています。

補足:AIは「文章化」で強みを発揮する

なお、患者向けの質問回答(説明文の分かりやすさ)では、ChatGPTの回答がより高品質・より共感的と評価された研究もあります(Ayers JW et al., JAMA Intern Med. 2023)。

つまりAIは「文章化・整理」の補助として強い。本記事で紹介した「患者説明資料の下書き」用途はこの強みを活かしたものです。一方で薬剤情報そのものは誤りが混ざりうるため、本記事の検証フローが前提です。

この記事を書いた人:薬剤師キツネ

病院薬剤師として16年、ドラッグストア薬剤師として2年のキャリア。医療情報技師・基本情報技術者として、医療×IT×AIの可能性を日々探求しています。

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この記事を書いた人

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