「DI業務にもっと専念したいのに、病棟業務や調剤で手一杯…」
「うちのDI室、ほとんど物置化してるんだけど…」
そんな悩みを抱えていませんか?
それ以上にキツいのが、高度な問い合わせほど”自信を持って答え切れない”というジレンマです。調べても調べても時間が足りず、結果的に”中途半端な回答”になってしまう──この感覚があるなら、伸びしろは大きいです。
病院薬剤師としてキャリアを重ねる中で、DI(医薬品情報)業務に専門性を見出したいと考える方は少なくありません。しかし現実には「DI室が形骸化している」「専任薬剤師を置く余裕がない」という職場も多く、自分の市場価値をどう高めればいいのか迷っている方も多いでしょう。
結論から言えば、AI時代のDI薬剤師は「絶滅危惧種」ではなく「希少価値が高まる存在」です。
ただし、単なる「検索係」のままでは淘汰されます。本記事では、生成AIを武器に臨床判断をリードする『スマートDI薬剤師』への進化戦略と、あなたの専門性を正当に評価してくれる職場の見つけ方を解説します。
病院DIを続けるかどうかは、「自分のDI経験が外でも評価されるか」を知ってから決めても遅くありません。
病院薬剤師がDI業務を極めるメリットと「AI時代」の意外な将来性

「AIが普及したら、DI薬剤師は不要になるのでは?」
こんな不安を感じている方も多いかもしれません。確かに、単純な「添付文書を検索して読み上げる」だけの業務は、AIに代替される可能性が高いでしょう。
しかし、本当のDI業務はそこではありません。
単なる「検索係」は終わる?AIを相棒にする『スマートDI薬剤師』の本質
実際、病院DI業務そのものをAIで支援する取り組みも進んでいます。国立がん研究センターは、DI室の問い合わせ対応を効率化・高度化するAI応答支援システムの研究開発を開始しています(国立がん研究センター プレスリリース,2018年11月22日)。つまり”DI×AI”は机上の空論ではなく、現場実装が視野に入っている領域です。
従来のDI業務といえば、医師や看護師からの問い合わせに対し、添付文書やインタビューフォームを調べて回答する──というイメージが強いかもしれません。
しかし、これからのDI薬剤師に求められるのは「情報を探す」ではなく「情報を解釈し、臨床判断を支援する」能力です。
具体的には、以下のような「判断材料の質」で治療を前に進める提案ができるかどうかです。病棟担当をご経験であれば、すでに実施されている先生方が多数でしょう。
【従来のDI】
「添付文書には『腎機能低下時は慎重投与』とあるので、減量を検討してください」と伝える。(情報提供)
【スマートDI】
「添付文書上は慎重投与ですが、最新のガイドラインとこの患者さんの排泄能(eGFR)を照らし合わせると、この条件であれば通常量も選択肢になり得ます。根拠となる文献を添えて先生のご判断を仰げます」と材料を揃えて提示する。(判断支援)
※最終判断はあくまで医師です。DIは「判断材料の質」で治療を前に進める役割を担います。
この「質の高い判断材料を迅速に揃える」ことこそが、AIには代替できない領域です。AIを使いこなして情報収集(検索)を効率化し、浮いた時間で医師が判断しやすい資料を作る──これが『スマートDI薬剤師』の仕事です。
DI業務でより広い患者層に貢献したいという思いを持つ薬剤師は少なくありません。
DI経験は最強のポータブルスキル!病院外でも評価される3つの理由
DI業務で培われるスキルは、実は病院内に留まらずさまざまなキャリアパスで活かせる「ポータブルスキル」です。
1. 製薬企業が求める「学術・MSL」への適性
製薬企業の学術部門やMSL(メディカル・サイエンス・リエゾン)は、医療従事者との情報交換を通じて自社製品の適正使用を推進する仕事です。
DI経験者が評価されるポイント
- 文献検索・評価のスキルが直接活かせる
- 医師との折衝経験がコミュニケーション力として評価される
- 情報を整理して伝える力がプレゼンテーション能力に直結する
2. メディカルライターとしての独立・転職
医療系メディアや製薬企業のメディカルライターは、正確な医薬品情報を分かりやすく伝えるプロフェッショナルです。
DI経験があれば
- 一次情報へのアクセス方法を熟知している
- 専門用語と一般表現の翻訳ができる
- エビデンスレベルの評価ができる
3. 病院内での「頼れる情報参謀」としてのポジション
DI業務を極めた薬剤師は、病院内で院長や診療部長から直接相談される「情報参謀」としてのポジションを確立できます。
これは調剤・病棟業務だけでは得られない、経営層に近いポジションです。
では、このDI経験は「病院の外」ではどう評価されるのでしょうか。
DI経験が評価されるかどうかは、実際の求人を一度見るのが一番早いです。
DI室の「形骸化」を打破する!医師・看護師から頼られる情報のプロになる戦術

「うちのDI室は物置になっている…」
「専任のDI薬剤師なんていない」
こんな職場、意外と多いのではないでしょうか。
なぜ中小病院のDI室は「物置」になってしまうのか?
日本病院薬剤師会の「医薬品情報業務の進め方2018」では、DI業務の重要性が明確に示されています。しかし現実には、多くの中小病院でDI室が機能していません。
その原因は主に3つです
- 人員不足:調剤・病棟業務で手一杯、専任を置けない
- ニーズの潜在化:医師が「問い合わせる習慣」を持っていない
- 成果の見えにくさ:DI業務の貢献度が数値化されていない
しかし、これは逆に言えば「先に動いた人が第一人者になれる」ということでもあります。
現場介入のアクションプラン:3ヶ月で「相談窓口」を確立するステップ
形骸化したDI室を活性化するための、具体的なアクションプランを紹介します。
ただし、最初は医師に「忙しいから」とあしらわれるのがオチです。
いきなり正面突破しようとせず、まずは「外堀」から埋めていくのがポリティクス(政治)の基本。泥臭くいきましょう。
【1ヶ月目】可視化フェーズ(まずは看護師を味方につける)
目標:DI業務の価値を「見える化」する
医師は忙しいですが、看護師は常に「薬の配合変化」や「粉砕可否」で困っています。ここが狙い目です。
- 問い合わせ記録のフォーマットを整備:誰から、何について、どう回答したかを記録
- 週次レポートを作成:問い合わせ件数と傾向を薬剤部長に報告
- 「知っておきたい安全情報」を院内メールで配信:PMDA安全情報などを噛み砕いて週1回配信
【2ヶ月目】浸透フェーズ
目標:医師・看護師に「相談先」として認知させる
- 各病棟のカンファレンスに参加:「薬の情報で困っていることはありませんか?」と聞いて回る(※)
- 「5分でわかる新薬情報」を作成:採用薬の要点をA4一枚にまとめて配布
- 疑義照会から発展した情報提供を積極的に行う
※聞き方は注意しなければなりません。こちらから提案もしながら質問をすることを心がけてください。単純に聞いて回るだけでは医師の実際に困っていることを回収できない可能性があります。普段から気軽に聞けるような関係性維持が大事です。(病棟薬剤師の範疇かとは思います。)
【3ヶ月目】定着フェーズ
目標:「あの人に聞けば分かる」というブランドを確立
- 院内勉強会を開催:15分程度のミニレクチャーを月1回
- 問い合わせデータを分析:「多い問い合わせTOP5」を可視化して改善提案
- 医療安全への貢献事例を報告:インシデント防止に繋がったDI回答を記録
DI業務を通じて医師と対等に議論できる環境を求める薬剤師は多いのです。
💡 DI業務の比率を上げられる職場を専門コンサルに相談してみませんか?
病院内でのキャリアアップに限界を感じているなら、DI・学術に強い転職エージェントに相談することで、思わぬ選択肢が見つかることも。
【実践】生成AI・ITツールを使いこなす「スマートDI」のスキルセット
本章は”ツール紹介”で終わらず、院内ルール・匿名化・一次情報での裏取りまで含めて運用可能な形に落とし込みます。
「AIを活用する」と言っても、具体的に何をすればいいのか分からない──そんな方のために、すぐに使える実践テクニックを紹介します。
文献調査を効率化する!生成AI活用の具体事例とプロンプト例
生成AI(ChatGPTなど)をDI業務に活用する際の具体的なプロンプト例を紹介します。
文献要約プロンプト
あなたは病院薬剤師のDI担当者です。
以下の論文について、臨床現場で役立つ形式で要約してください。
【要約のフォーマット】
1. 研究目的(1行)
2. 対象・方法(2-3行)
3. 主要な結果(数値を含めて3行以内)
4. 臨床的な意義(現場でどう活かせるか)
5. 限界と注意点
【論文情報】
(ここに論文タイトルやアブストラクトを貼り付け)
相互作用チェックプロンプト
以下の薬剤の組み合わせについて、相互作用リスクを評価してください。
薬剤A:〇〇〇
薬剤B:〇〇〇
【確認したい項目】
1. 相互作用の有無と機序
2. 臨床的な重要度(高/中/低)
3. モニタリング項目
4. 代替案の提案
※必ず添付文書やIFで裏取りが必要な旨を付記してください
⚠️ 重要な注意点
生成AIの出力は必ず一次情報(添付文書、IF、PMDAなど)で確認してください。AIは「もっともらしい嘘」をつくことがあります。

プロンプトの改善例として、「評価」ではなく「関連情報をそのまま提示」が良い可能性があります。あくまでも判断は(2025年12月現現在の)AIにはできません。
🔒 院内で生成AIを使う際のセキュリティ注意
生成AI活用には情報セキュリティ上の注意が必須です
- 患者情報・院内情報は外部AIに入力しない(匿名化しても再識別リスクあり)
- 利用は院内の情報セキュリティ規程・上長許可に従う
- 可能なら医療機関向け環境(契約プラン/閉域/ログ管理)を選ぶ
- AI出力は「叩き台」。PMDA添付文書検索・IF・ガイドラインで必ず整合確認


DI業務支援ツールの導入メリット
現在、DI業務を支援するITツールが登場しています。
| ツール名 | 提供元 | 主な機能 |
|---|---|---|
| AI-PHARMA | 木村情報技術株式会社 | 医薬品情報管理共有プラットフォーム(”スマートDI室”を標榜) |
これらのツールを導入の効果予測
- 検索時間を大幅に短縮できる
- 過去の問い合わせ回答をデータベース化できる
- 問い合わせ傾向の分析が容易になる
ただし、ツールの導入には予算や院内承認が必要です。まずは院内規程に沿った形で生成AIを試すのが現実的でしょう。
転職か、残留か?理想のDI環境を手に入れるためのキャリア選択肢

DI業務に専念できる環境を手に入れるには、大きく2つの選択肢があります。
病院内で「専門・認定薬剤師」として不動のポジションを築く
現在の職場でDIキャリアを極めるなら、専門・認定資格の取得が有効です。
DI業務に関連する資格
- 医療情報技師:病院情報システムの管理・運用
- 日病薬病院薬学認定薬剤師:病院薬剤師としての総合力証明
これらの資格を持つことで、「DI業務の第一人者」としての院内ポジションが確立できます。
筆者の薬剤師キツネも医療情報技師を持っています。ITに興味があり、普段から学習している方は苦なく取得できる資格だと思います。
高年収を目指すなら:製薬企業(学術・MSL)やメディカルライターへの転身
年収アップを最優先するなら、製薬企業への転職も選択肢になります。
| キャリアパス | 想定年収(目安) | DI経験の活かし方 |
|---|---|---|
| 製薬企業 学術職 | 600万〜800万円 | 文献評価・情報発信スキル |
| MSL(メディカル・サイエンス・リエゾン) | 700万〜1,000万円 | 医師との折衝力・専門知識 |
| メディカルライター | 500万〜700万円(独立後は上限なし) | 情報の整理・翻訳力 |
※上記は求人情報や業界相場からの目安です。薬剤師全体の統計(e-Stat 賃金構造基本統計調査)は参照できますが、病院薬剤師に限定した統計ではない点に注意が必要です。実際の数字は求人を調査するほかありません。
DI環境が悪すぎる職場を見抜く!転職時に確認すべき3つのチェック項目
転職活動で「DI業務に力を入れている」と謳う求人を見極めるためのチェックリストです。
✅ 転職時に確認すべき3つのポイント
- DI専任(または主担当)がいるか
- 「兼務」ではなく「専任」がいる職場が理想
- いない場合でも「これから整備したい」という意志があるか
- DI室の物理的な環境
- デスク・PCが整備されているか
- 文献データベース(医中誌、PubMed等)へのアクセス環境
- 週間・月間の問い合わせ件数
- 問い合わせが「ある」ということは、DI機能が活きている証拠
- 「ほとんどない」職場では、一から体制を作る覚悟が必要
✅ さらに重要:「裁量と文化」をチェック
DIは情報だけでなく、薬剤部が医師と議論できる文化がないと伸びません。以下も確認しましょう:
- DI回答が院内で共有される仕組みがあるか(個人芸で終わっていないか)
- 薬剤部が委員会(薬事・医療安全等)で発言できるか
- “慎重投与なので一律NG”で止まらず、根拠を添えて選択肢提示できる土壌があるか
これらが揃っている職場なら、あなたの専門性は確実に評価されます。
💡 年収600万以上の病院DI・学術求人を非公開リストで確認しませんか?
転職エージェントに登録すると、公開されていない高年収求人を紹介してもらえることがあります。
病院DI転職の第一候補はファルマスタッフ|ただし併用すべきケースもある

「DI室が機能しているかどうか」は、実際に現場を見に行かないと分かりません。
その点で、ファルマスタッフは担当者が職場へ足を運び取材するコンテンツもあり、求人票だけでは分からない情報を確認できる場合があります。(※求人ごとに確認範囲は異なります)
ファルマスタッフが向いている人
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 運営会社 | 株式会社メディカルリソース(日本調剤グループ) |
| 病院・クリニック求人数 | 3,761件(2025年12月22日確認時点) ※サイト全体求人は約4.9万件 |
| 最大の特徴 | 担当者が実際に職場を訪問して取材している |
向いている人
- 病院求人で、DI室の実態(専任の有無、設備、委員会参加等)を深掘りしてミスマッチを避けたい
- 職場の雰囲気や人間関係まで把握して転職したい
向いていない人
- MSL/学術など企業対り一本で探したい(企業求人は強くない場合も)
- 外資・ハイクラス一本で探したい
- 地方で病院求人が極端に少ないエリア
併用を推奨するケース
| 希望キャリア | ファルマスタッフの位置づけ | 併用推奨 |
|---|---|---|
| 病院DI一本 | ◎メイン | ― |
| 病院DI+企業(学術/MSL) | ○病院側 | 企業に強いエージェントを併用 |
| 企業一本 | △サブ | 企業特化のエージェントをメインに |
電話だけの他社 vs 現場を見るファルマスタッフ
| 確認項目 | 一般的なエージェント(電話のみ) | ファルマスタッフ(現場訪問あり) |
|---|---|---|
| DI室の有無 | 「あるそうです」としか言えない | 「専用デスクがあり、書籍も新しかった」と分かる |
| 職場の雰囲気 | 人事担当者の話のみ | 「スタッフ同士がDI室で活発に議論していた」と分かる |
| 設備投資 | 把握していない | 「PCは1人1台、医中誌も契約済み」等の情報がある |
このように、「行ってみないと分からないリアルな情報」を持っているのがファルマスタッフの強みです。
ただし、企業(学術/MSL)も視野に入れている場合は、そちらに強いエージェントを併用するのが賢明です。目的別に併用することで、選択肢を最大化できます。(今後記事を執筆する予定です。現時点では、企業案件においてもファルマスタッフに問い合わせをするだけでも情報収集の観点から効果的かと思います。)

まとめ:情報のプロとして、選ばれ続ける薬剤師になるために

ここまで、病院薬剤師がDI業務で専門性を高め、キャリアアップするための戦略を解説してきました。
本記事のポイント
AI時代のDI薬剤師は「絶滅危惧種」ではなく「希少価値が高まる存在」
単なる「検索係」ではなく、臨床判断を支援する『スマートDI薬剤師』へ進化せよ。
DI室の形骸化は「先に動いた人が第一人者になれる」チャンス
3ヶ月のアクションプランで「相談窓口」としての地位を確立せよ。
生成AIを武器に、文献調査を効率化
浮いた時間で「解釈と判断」という人間にしかできない仕事に集中せよ。
キャリアの選択肢は「病院残留」か「製薬企業・ライターへの転身」
年収アップを狙うなら、DI経験を武器に企業への転職も視野に入れよ。
転職時は「DI専任の有無」「環境」「問い合わせ件数」をチェック
DI環境が整っている職場を見極める目・手段を持とう。
今日からできる第一歩
良い求人ほど、表に出る前に「非公開求人」として決まってしまうのがこの業界の常識です。
まずは情報収集から始めましょう。
- 病院DI一本の場合:ファルマスタッフで「〇〇病院のDI室って、実際どうなっていますか?」と聞いてみる
- 企業(学術/MSL)も視野に入れる場合:病院に強いエージェントと企業に強いエージェントを併用して選択肢を広げる
あなたの「情報のプロ」としてのキャリアが、ここから大きく飛躍することを願っています。
ここまで読んで
「DIを続けるか、環境を変えるか」で迷っているなら
求人を見ずに考え続けるのは、正直リスクです。
ファルマスタッフは
- 病院薬剤師のDI経験を理解している
- 無理な転職ゴリ押しをしにくい
まずは情報収集だけでも問題ありません。